高野政英
伊東里山クラブ 代表者
伊東里山クラブとは
伊東里山クラブは、伊東市が主催した伊東市里山づくり講座(企画・運営:NPO法人まちこん伊東)から生まれました。この講座は2003年(平成15年)10月から始まり、森林整備技術のほか植物・生物・火山・郷土歴史などの座学、また里山の活用を実践するシイタケの原木栽培などを展開しました。
2004年(平成16年)任意団体「伊東里山クラブ」発足、まちこん伊東から離れて独自の活動に移りました。 伊東市健康保養地づくり実行委員会の主催となった「 伊東市 里山づくり講座」(後に、「伊東市里山講座」と改称)では、アウトドアライフを楽しもう!というコンセプトで伊東市民の参加を募る企画・運営を当クラブが担い、2018年(平成30年)3月まで約15年間にわたり講座を継続しました。
2004年10月は、伊豆半島を横断した大型台風22号が伊東市宇佐美の大丸山(だいまるやま)を通過してヒノキ人工林の風倒木被害が生みましたが、里山クラブが大丸山と関りを持つきっかけでした。 大丸山中腹を通る「巣雲山(すくもやま)ハイキングコース・阿原田コース」の一部が山腹崩壊により通行できなくなり、地元宇佐美地区では、ハイキングコース復旧を目指した森林整備を行う「宇佐美の森を守る会」(大丸山植林組合を改組)を発足させて台風翌年の2005年(平成17年)から大丸山の風倒木処理を手掛けました。この活動の初めから伊東里山クラブも協力し、コース整備、植栽活動を行ってきました。 2008年(平成20年)4月、伊東里山クラブは特定非営利活動法人に移行。法人設立の趣旨は、自然環境の保全と地域の観光経済に微力ながら寄与していくことでした。 2013年(平成25年)4月には、定款を見直して特定非営利活動の種類を「環境の保全を図る活動」を筆頭に七つの分野に拡大。森づくり活動は変わりなく続け、子どもの健全育成、中山間地域の振興やまちづくりにも関わってみよう、それと、2011年(平成23年)の3.11東日本大震災で災害支援活動を経験して、災害時における活動も法人の事業に組み入れることにしました。
大丸山植物図鑑 1~15
解説:山口康裕(環境省登録環境カウンセラー)
1~15
1.オオバイノモトソウ(常緑性‐イノモトソウ科)
東北から九州まで分布。低地の林床に繁茂する。葉は栄養葉と胞子葉の2形があり、胞子をつける葉柄は付けないものよりも針金のように長く葉の幅も狭い。特徴は葉の先端部が3枚の小葉が逆矢印のように形をしている。
2.ヤブムラサキ(落葉低木-シソ科)
宮城県以南〜九州の低山林縁に分布。葉の表裏面には微毛が散生しビロードの手触り感がある。葉腋から花序を出して紅紫色の花を咲かせ、ムラサキシキブ同じコバルトブルーの実を付けるが葉の下で結実する。特異点として葉の細胞に金を貯める習性がある。
3.ヒノキ(常緑針葉樹―ヒノキ科)
福島県~九州に分布。世界に誇る建築用材で城や寺院建設には必ず用いられた。その理由は他の木では見られない伐採してから300年間徐々に強度を増すからである。材は仏像制作で有名であるが殺菌作用があるため寿司台としても用いられる。
5.ウラジロ(常緑性-ウラジロ科)
千葉県以西の湿った所に繁茂する。葉の裏が白いことからこの名がある。正月の注連縄や餅の飾りに使われ縁起の良い植物とされてきた。理由は毎年前年の茎の先端から2枚の葉を出し数年分の葉が層をなすので祖父母、父母、孫のいる家族繁栄を連想させるからである。
6.コシダ(常緑性-ウラジロ科)
福島県~九州に分布。ウラジロと混生することが多く、形がウラジロに似るが小型で葉は二股を繰り返しでウラジロのように数年分の層を作らない。繁殖力が強いので他の植物を駆逐する。ウラジロに比べ比較的乾燥した場所でも繁茂することが出来る。
7.ハリギリ(落葉高木-ウコギ科)
日本全土に分布。葉は天狗の団扇のように裂け長い柄を持っている。材がキリに似て棘があるためこの名がある。特に幼樹の時には鋭い棘が樹皮を覆っている。下駄、仏壇、棺桶、酒樽の栓等に用いれる。ウコギ科なので新葉は癖が無く天ぷらに最適。
8.ホオノキ(落葉低木-モクレン科)
日本全土に分布。古代植物で蜜は作れず甘い臭いで虫を呼び寄せる。開花時は雌花で数時間後には雄花に変化する。これは自家受粉を避けるためである。葉は朴葉味噌材で有名であるが、材の用途も多く、かつては眉墨に始まり、日本刀の鞘、彫刻材、蒔絵の金を研ぎ出す磨き炭などに用いられている。
9.エゴノキ(落葉亜高木-エゴノキ科)
日本全土に分布。里山には必ず見られる木で樹皮を田畑に漉き込み土壌細菌の駆除を行った。また実にはサポニンを含むことから実をタライに入れて掻き混ぜ石鹸の代用として野良着などの洗濯に用いた。材は濡れて乾いても割れることが無いため様々な用途に用いれるが、中でも山口県の大内塗の素材はエゴノキを使っており植林が行われている。
10.イタヤカエデ(落葉高木-カエデ科)
北海道~九州まで分布。イロハカエデよりも葉が大きく割れが浅い。メープルシロップほどではないが甘みがあるため、アイヌ人が神と崇めるヒグマの子供をこの木の樹液で育てたためアイヌ語でトペニ(乳の木)と呼んで大切に保護してきた。材は楽器の表面坂として用いられる。
11.イチイガシ(常緑樹―ブナ科)
千葉県以西に分布。葉の裏に茶色の毛が密生し、葉の半ばから先端にかけ鋸歯が見られる。ドングリは唯一あく抜きなしで食べられる。材は強靭にも拘らず軽いため戦国時代の槍に用いられ、樫の木なかで一番の優良材として一位の名が付けられている。
12.コアジサイ(落葉樹―アジサイ科)
千葉県以西に分布。丘陵や山地の林内で見られ、アジサイの中まで唯一装飾花を持たず全て両性花である。花に微香があり花期には周辺が香気に包まれ趣があるが、花柄の色と花色が見事なバランスを生み出していて見る人を飽きさせない。
13.ヤマハンノキ(落葉亜高木―カバノキ科)
日本全土の渓流沿いに分布。カバノキ科特有の長い雄花序を垂らし雌花序は雄花序の後方にひっそりと付く。昔は農村では稲を掛ける稲架木(はさき)として用いた。また今でも山葵栽培の日影を作るためにも山葵田に植栽されている。
14.クロマツ(常緑樹―マツ科)
本州~九州の海岸線に分布。三保の松原、天橋立を有名にしているのがこの松である。樹皮が黒いためこの名がありアカマツ(女松)比べると葉が固く長いので男松とも呼ばれる。雄花はオレンジ色で雌花は赤紫で既にマツボックリの形をしている。材は粘り気があり神社仏閣の梁に用いられている。
15.ウバメガシ(常緑樹―ブナ科)
神奈川県以西の太平洋側に分布するが日本海側には見られない。海岸近くの乾燥地に群落を作る。材は非常に硬く比重が大きく見ずに沈む。ウナギのかば焼きに用いる備長炭はこの木から作られる。葉を触ると固くてツルツルしている。勿論ドングリの木でもある。
大丸山植物図鑑 16~23
解説:山口康裕(環境省登録環境カウンセラー)
16~23
16.センダン(落葉亜高木-センダン科)
四国以西に分布。関東で見られるセンダンは植栽されたものが逸出したもの。その昔この木には邪気を払う力があると信じられていたので罪人の生首をのせる獄門台に使われた。5月に紫色雄しべが目立つ美しい花を咲かせる。葉は大きな奇数複葉。新緑を下から見上げると何ともすがすがしく美しい。クマゼミが集まる木としても有名。センダンハマキガの食草でもある。
17.シャシャンボ(落葉亜高木-ツツジ科)
福島県~九州に分布。世界に誇る建築用材で城や寺院建設には必ず用いられた。その理由は他の木では見られない伐採してから300年間徐々に強度を増すからである。材は仏像制作で有名であるが殺菌作用があるため寿司台としても用いられる。
18.ヤマツツジ(落葉低木―ツツジ科)
北海道南部以南に分布。日本のツツジの代表で朱色の花を付ける。山に多いのでヤマツツジと呼ばれ酸性土壌を好む。葉の裏の葉脈には毛が生えている。蜜は蝶だけが知っている場所に蓄えられ他の昆虫たちはありつけない。
19.イヌツゲ(常緑亜高木-モチノキ科)
北海道を除く全土に分布。小さな葉を付けるツゲに似ているが柔らかで用材には 使われない。植物にイヌが付くと役に立たないことや ニセモノを意味する。実によく似たイヌツゲメタマフシと言う虫こぶが枝に付く。モチノキ科は赤い実を付けるがイヌツゲはへそ曲がりで黒い実を付ける。
20. ヤマボウシ(落葉亜高木-ミズキ科)
宮城県以南に分布。
北海道を除く全国に分布。山地で見られる木で6月に薄黄色の小さな花が集合して、その周りには大きな白い花びら並ぶが花びらではなく総苞片である。9月にはリンゴ飴のような実を付けマンゴーのような味がする。
21. シキミ(常緑亜高木-シキミ科)
宮城県以西に分布。3月~4月にかけて薄い黄色のリボン状の花を付ける。 有毒植物の代名詞で特に実には人を殺せるほどの毒が ある。そのため狼や野犬が土葬を荒らさないように墓に植えられた。葉に厚みがあり葉脈がほとんど見えない。
22. ヒトツバタゴ(落葉高木-モクセイ科)
愛知県、長野県、対馬の一部に分布。そのため隔離分布植物を呼ばれている。絶滅危惧種でもある。別名のナンジャモンジャの名で親しまれている。特徴は枝全体が純白の細いリボン状の花で覆われ、雪をかぶったような美しさがある。
23.ヒョウガミズキ(マンサク科)
岐阜県以西に分布。3月に黄色で小型の花序を吊り下げる。枝が細く分岐するので花が広がり豪華であり、若葉は赤みを帯びて美しい。ほとんどが公園や庭の生け垣として使われる。
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